熱中症

何年か前から、熱中症にかんするニュースが増えたような気がする。

異常気象のせいなのかどうかは分からないが、猛暑のせいでお年寄りや子供が倒れたり、いのちを落としたりといったニュースをよく目にする。昔は熱中症というのはなかった(知らなかっただけか)。日射病と言ったのだろうか、とにかく夏の暑い日は日射病に気をつけなさいと言われた覚えはあるが、日射病は人の生死に関わる一大事だとは思わなかった。

で、今年はだんだん熱中症もエスカレートしている。たとえば、甲子園の野球大会の地方予選で選手が何人か倒れたとか、ラグビー部員、柔道部員、バスケットボール部員が病院に運ばれたとか。いかにも強くて体力がありそうな、これらの若者が熱中症になり倒れたり、意識不明になったり。いったいどうなったのか日本の夏は。

と思う版面、ちょっとおかしいなと思うこともある。自分自身、中学・高校と体育系の部活をしていて、夏はとにかく大変だった。当時は、謬説というか迷信が幅をきかせていて、練習中も試合中もけっして水を飲んではいけないと「指導」されていた。今思うと、これは危険な指導だ。今は、少年少女の試合などでは、給水タイムがあったり、トップレベルの選手でも試合中にペットボトルの水を飲んだりするのがあたりまえになっている。しかし、当時はちがった。皆、脱水症になりながら運動場を、体育館を駆け回っていたのである。

しかし、熱中症(当時でいえば日射病)で病院へ運ばれたなどということをきいたことがない。練習中に暑くて気分が悪くなることはあったが、せいぜい日陰に横たわって休ませてくれればまだよい方で、下手をすれば気分が悪いという申し出は却下され、叱責されることさえあった。今の常識からすると異様だ。人権侵害であり、場合によっては犯罪でさえありうる。

いまは、だから素直に体調の悪さを少しでも覚えれば、ちゃんと申し出ることのできる環境になったのだろう。指導者もそれをまじめに受け取り、休ませるなり、病院へ運ぶなり、適切な措置をとるようになったのだろう。とくに病院へ運べば統計上、熱中症患者としてカウントされることになる。昔のように、死の淵をさまよっているかもしれないのに、我慢してぎりぎりまで耐えていると、統計上、その数は把握されない。よい時代になったとつくづく思う。

それでも、意識を失うほどの重症になったり、いのちを落としたりする子がまだいる。我慢する、頑張るkとを是とするイデオロギーは、よほど影響力があるのだろう。

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